『ザンザス様ー!!仕事、終わりそうです☆』



「テメー・・・んなこと電話してくんじゃねぇよ!!」




はザンザスに任された任務を遂行できたことに大満足のご様子。


しかし一方のザンザスはうざくて超不機嫌のご様子。





「テメーなぁ、そんなことしてる暇あったらちゃっちゃと帰って来い!!」


『あーそのことなんですけどねーザンザス様ー・・・』



ちょっとトーンを下げてはボソッと言った。



『あたし、帰れそうにも無いです』


「あぁ?!どういうことだ?!」

『んー・・・今ね、血が止まらないんです』

「・・・はぁ?!」


『やだー・・あははっなんですかその間は・・・』



はヘラヘラと笑っているが、ことは深刻であった。

電話を通してほんの少し、息が乱れ始めていることがわかる。


ザンザスは座っていた椅子から立ち上がる。



「お前、今どこにいる?」


『もう、ヴァリアーには戻れません』


「んなこと聞いてんじゃねぇ!!どこにいるっつってんだ!!」


『もしかして・・・心配してくれてるんですか?』

「当たりめーだろうが!!ちゃっちゃと場所を『ありがとうございます。ザンザス様』


ひどく、優しい声では言った。

ザンザスはこれほどまでに優しくて綺麗な声を聞いたことが無かった。


『あたし・・・正直言うと・・・・ザンザス様に嫌われてると・・・』


「んなはずねぇだろ?!」

『素直ですねー・・嬉しいです』

「俺は・・・お前が・・・」

『いいんです。言わないでください。・・・あっちに行けなくなっちゃうじゃないですか・・っ』



ザンザスが掠れたため息をついた。

は嗚咽を漏らしている。きっと涙を流しているのだろう。


しかし、息も絶え絶えになってきていた。



『あたし・・・は・・ザンザス様の・・・も・・とで働けて・・・嬉しかっ・・た・・・です』



「おい!場所を言え!!」



『・・・愛しています。ザンザス・・様』







ブチッ・・・。そこで電話は切れた。







「おい・・・っ!!」



リダイヤルもかからない。




「クソッ・・・」




窓をガバッと開ける。


月がムカツクくらいに綺麗で、大きくて・・・






・・・?」







そんな月明かりに照らされているのは

まぎれもなく、さっきまで話していた



ザンザスは窓から飛び降り、の傍へ駆け寄る。




体を起こさせ、ザンザスは


の赤い血を手のひらで大事そうにすくった。




「・・・・・・」



「・・・・」







何もしゃべらず、たださっきまで流していた涙が月の光に反射して輝く。

微笑みながら、一人で死んでいった





「せめて、少しでも一緒に・・・」





そういいながらゴクリとの血を飲む。





いつしかヴァリアーの隊員達もの死に気づき、

窓から顔を出し、ザンザスとを見つめた。











ザンザスは、ただ目を瞑って、を抱きしめた。


























たった一人の愛する者へ