毎朝のように汗を流す彼。
ここはバッティングセンター。
で、あたしはその経営者の一人娘。
家と兼用になってるから、ここの出入りは自由。
で、毎朝やってくる彼を見ては・・・
「おはよーw毎日飽きないねぇ・・・」
とあまり興味もなさそうに牛乳を手渡す。
すると彼はいつものように笑った。
「おーサンキュー!」
彼の名前は山本 武。
あたしと同じ並盛中に通ってる。(クラス違うけど・・・)
「いーえ。野球馬鹿さん♪」
「なんて呼び名だよそりゃあ・・・」
「野球馬鹿でしょ?牛乳と野球だけで生きてるじゃない」
「ははっ言うな〜」
爽やかに笑う山本があたしは好きだ。
「そーいやぁって野球できんのか?」
「へ・・・?あ、当たり前でしょ!!」
いきなり投げかけられた質問にビックリした。
いや、本当はできないけど・・・できなかったら嫌われるかなー?って・・・。
だって山本は野球できる子が好きだって噂で聞いてたし・・・。
「ふーん・・・じゃあ勝負しよーぜ♪」
「む・・無理だよ!!野球部員に勝てるはず無いじゃん!!」
「じゃあ、10球中1本当てられたらお前の勝ち。俺は10球中9本当てられたら勝ち。これでどーだ?」
ちょっと考えたけど、野球できなくても1本くらいはあたるだろうって思ったし、
何より10球中9本なんて無理だと思ったからこの勝負を受けようと思った。
「よーし。負けないから♪」
「俺も♪負けたやつ、罰ゲームな?」
「えー・・・いいけど・・・」
「勝ったやつのお願いを一つ聞くってことで。じゃあ勝負開始な♪」
―――――――――――――・・・・
ヒュッ・・・スカッッ・・・
「ゲ・・・」
「やりぃ♪俺の勝ちな〜♪」
結局負けた。1球も当たらないって・・・!!
しかも山本は10球全部当てたし・・・(そのうち6本はホームラン)
つーか今ので野球できないってばれたし・・・ああ・・・・。
「、野球初めてだよな〜♪・・・・知ってたけど。」
「え・・・」
「いやーの親父に聞いたんだよ。」
「知ってたのに・・・なんで・・・・」
「ん?罰ゲームのため♪」
いや、嫌われてなかったのはいいけど・・・
今、黒い山本が見えた。
ははっと笑ってるけど、確実に黒い。
この子、黒いよ!?
「ば・・・罰ゲームって・・?」
「うーんとなぁ・・・」
また黒い笑みを浮かべた山本はあたしの耳元で
「俺と付き合ってよ」
「・・・・・・・はい?」
「恋人、になろーぜ♪」
「・・・・え・・・あのぉ・・・・・」
罰ゲームかこれは?
「えっと・・・・」
「拒否権ないからな♪」
あたしの手首をぎゅっと掴んだ。
顔は笑顔だけど、手が震えてた。ばーか。緊張してるくせに。
めっちゃ拒絶されるのが怖いくせに。
知ってたよ、たまに山本は怖いのに笑って・・・怖くないように見せるんだ。
今がそのとき、
「や・・・山本!!」
「ん?」
あなたの恐怖を取り除いてあげるよ。
ちゅぅっ・・・・
「!!!????」
「こんなの罰ゲームじゃないっしょ?
だって、あたしも好きだもん☆」
「・・・・よ・・・よかったぁぁっ」
山本、もっと笑ってよ。
あたし、山本の笑顔が大好きだから。
晴れ時々曇り。でも晴れ。
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