あたしは、今までいったい何を見てきたんだろう。
「あ、おはよー。とーしろー」
「おう。昨日は・・・」
「・・・大丈夫だったよ?全然。ありがとねー心配してくれて・・・」
前日、あたしは同じクラスで隣の席の冬獅郎に告白された。
修兵と付き合ってるあたしは、当然駄目。って言わなきゃいけないけど、
そんなこと言えるような心境じゃなかったりする。
ほら、また修兵は窓の外をぼんやり見てる・・・。
「でも、やっぱ修兵は窓の外が気になるみたい。ほんと、誰かいんのかねー?」
「無理して笑ってんじゃねぇよ」
ぽんぽん、とあたしの頭を撫でた冬獅郎。
はあ、冬獅郎が頭撫でてくれると落ち着くなー・・・。
あ、駄目だって!!浮気は良くない。
でも・・・修兵だって・・・
「ははっ、テメー百面相だなー」
「ちょ・・からかわないでよ!!ひゃぅっ・・頬っひぇたひっひゃんなひひぇー!!」
冬獅郎といるとすっごい楽しかった。
なんか、こういうのが恋人だよねー・・・うん。
あたし達も付き合った当初はこんな感じだったよね。
ふざけあって、キスして、手繋いで・・・それだけですっごいドキドキして・・・・。
こんな気持ちになったのは、昨日の・・・
「も、やめてってば///」
「何顔赤くなってんだよ」
「うるさいなっ。」
キスが久しぶりだったな。
―――――――――・・・
「あ、修兵・・・」
「ん?なんだ?」
「お昼、一緒に・・・「あ、悪ぃ・・ちょっと行ってくる」
あたしがお昼に誘えば、修兵は教室を後にした。
窓から目を離したときも、あたしの方なんて見てもいなかった。
後ろから、同じクラスでお友達の織姫が「一緒に食べよう?」って声かけてくれた。
「ねぇ、・・・檜佐木君と最近上手くいってないみたいだよね・・・」
「あ・・・うん・・まあ・・・ね。」
「檜佐木君、何考えてるんだろ!もうっ・・・」
「ありがとね、織姫」
「え?」
「心配してくれて、ありがとうってこと」
にっこり笑うと、織姫もにっこり笑い返してくれた。
「全然!だって、お友達だよ?あたし、何があってもの味方だから」
「えへへっ、嬉しいなっw」
あたし達は微笑みあって、昼食を食べ始めた。
その時、たまたま窓の外を見ると、
「・・・しゅ・・・・・へ?」
修兵と・・・女の人。
金髪で・・・あ、保健の乱菊先生・・・っ
「あ・・・ちょ・・・・」
そんな近づかないでよ。
「箸落ちたよ?・・・・・?ねぇ、・・――――」
「や・・・ぁ・・・っ・・・・・」
ヤメテ。ソンナオンナニ、チカヅカナイデ。
イツモ、ソノオンナヲミテタノ・・・?
ネェ、シュウヘイ・・・アナタハダレヲミテイルノ?
ダレガスキナノ?
シュ・・「!!」
闇の中で、光の声がした。
――――――――――・・・
風が気持ちいい。
・・・あれ、あたし・・・どうしたんだろ・・・
さっきまで織姫と・・・ご飯食べて・・・・
それで・・・それで・・・
「、目・・・覚めたのか?」
「と・・とーしろー・・・?」
「ああ。さっきお前、窓からいきなり飛び降りようとして・・・大変だったんだぞ。
しかも俺が腕を掴んだと思ったらいきなり意識飛ばして倒れちまうし・・・」
「あたし・・・なんで・・・・」
「わからねぇ・・けど・・・思い出せねぇのか?」
「あ・・うん・・・なんか・・・・黒いもやが「あら、起きたのね!!」
ベットをしきっているカーテンを開けて入ってきたのは、乱菊先生。
と、もう一人後ろに・・・
「ほら、修兵!よかったじゃない!!」
「あ・・・・だ、大丈夫だったか?!」
「おい、やめろよ。テメーはもう「やめなよ。とーしろー。初対面の人に失礼だよ?」
部屋に緊張が走った。
何、どうしたの?
「、お前・・」
「え、何?とーしろー?」
「・・・お前・・・・こいつのこと・・・」
「あ、もしかしてとーしろーのお友達?転校生?
初めまして、あたしはとーしろーのお友達の って言います!」
にっこり笑って挨拶してみたけど、
切れ目の人は唇を震わせて、あたしの両腕を掴む。
「いたっ・・・」
「お前、俺のこと忘れちまったのか?!なぁ・・っ!!!」
「へ・・・?えっと・・「やめなさい、修兵」
「乱菊先生・・・?」
「、こいつのこと・・・」
「初対面ですけど?」
「そう・・・修兵、ちょっと来なさい」
乱菊先生は修兵っていう切れ目の人を外に連れ出した。
「ねぇ、どうしたんだろうね。」
「さあ・・・な。」
ただ、あたしはにっこり笑った。
*
いきなり二話目にして記憶喪失のヒロイン。
さて、これからどうなることやら・・・。