「なぁ・・・お前・・・・どうしたんだよ・・」
「にゃぁ・・・っ」
あたしは血まみれだ。
自分の血で真っ赤な体。
雨にぬれて、あたしの歩く道に赤い水溜りが出来てる。
「・・・っ」
ぎゅっと抱きしめてくれるご主人様。
汚いよ、汚れちゃうよ、ご主人様。
ああ、確かあたしが拾われたときもこんな状況だったね。
「俺がお前の世話をするから」って・・・抱きしめてくれた。
「・・・しっかりしろよ」
「」・・・そうご主人様がつけてくれた名前。
でも本当はね、あたし捨てられたんだよ。
元の名前は「チェリー」って言うの。でも、「」って名前すっごい好き。
「にゃぁ・・・っ」
「・・・っ・・・!!」
ねぇ、ご主人様。
あたしがご主人様を好きだったの知ってた?
いや、恋してたってことだよ?
「俺・・・守るって言ったのに・・・」
泣かないでよ。ご主人様。
神様、お願いです。
この瞬間だけでも人間にしてください。
ご主人様の涙をふき取ってあげたいのです。
「ごめんな・・・」
なぜ、謝るのですか?
あたしはありがとう。って思ってるのに。
人間ってよくわからないよ。
でもでも、あたしは人間にあこがれてる。
「・・?!・・・っなぁ・・・もう一回・・・鳴いてくれよ・・なぁっ・・・!!」
ご主人様、あたしの本当の名前はチェリーだよ。
でもいいけどね、一度くらいはチェリーって呼んで欲しかったりしたの。
最後に、ご主人様・・・
「・・しゅ・・・・へ・・・っあ・・りが・・・・と・・・・っ」
「え・・・?」
ああ。愛しのご主人様。
CHERRY
あたし、人間に生まれ変われるかな?