「図書委員って楽なんだけど・・・放課後の居残りは暇だなぁ・・・」




あたしは一人だというのをいいことに大きく欠伸をした。


「んー」と唸りながら体をめいっぱい伸ばす。




「あー・・・つっかれ「君、女の子でしょ・・・大口開けすぎ」



「ぎゃぁぁぁっ!!!ひ・・・雲雀っ!!」



「はぁ・・・もっと女の子らしい声出せないの?」




ため息をつきながら、いつの間にか図書室に忍び込んでいた(?)雲雀見つめる。

雲雀と久々にしゃべったなぁ・・・もしかして中学入って初めてかな・・・。


一冊の本を手に取りパラパラとページをめくる雲雀の姿は

小学生の頃よりもずっと大人びてた。声も変わった気がする。




でも、あの綺麗な肌や雰囲気とかはやっぱり昔っからの雲雀だ。



そんなところがあたしをほっとさせた。





「ねぇ、そんな見ないでくれる?」


「え。あ・・ごめん」


はいつもそうだね・・・僕が何か言うと「ごめん」って言うんだ」


「そう?」

「そうだよ・・・そればっかり。」




そういった雲雀はどこか寂しそうだった。




パラパラ・・・と本のめくれる音だけが静かに響いていた。





「雲雀と一緒にいるの・・・久しぶりだねー」


「それが?」

「別に。なんか懐かしいなぁ・・・って思っただけ」




なんだろう、ひどく胸が痛いや。




いや、なんだろうじゃないな。

あたしはこの痛みの原因を知ってる。




「雲雀、なんの本探してるの?」


「知らなくていいよ。には関係ないでしょ」


「そうだね・・・」




あたしのこの胸の痛みは、恋の痛みだ。


ぎゅーって切なくて、痛い恋。



息が詰まるほど締め付けられるような、そんな恋の痛み。


雲雀は




「ねぇ、」


「何?」




この痛みを分かってくれるだろうか。




「好き」




「そう」





「好きだよ。雲雀」




「うん」





雲雀とあたしは幼馴染だから、考えてることなんて直ぐ分かる。


小さい頃は、それが嬉しかったけど





「雲雀・・・」



「ごめんね、



今は、それがすごい悲しいよ。




「僕は・・・を好きだよ」



「うん・・・」




お互いがぼやけるほど近すぎた。





「でも、君を・・・愛せないよ」



「分かってる。」





「ごめんね。」



「いいの、ありがとう。雲雀」






雲雀は、あたしの前に一冊の本を置いて出て行った。




めくられてあったページには綺麗な花が咲いていた。





「ツルニチニチソウ・・・か」






あたしはポロポロと本に涙を落とした。







「花言葉は・・・幼馴染、楽しい思い出・・ねぇ・・・っ・・・」







知ってたよ、幼馴染だってことくらい。





「ひ・・・ばぁ・・・りっ・・・ひっく・・・ぅぁ・・・・」




もう、あたしは幼馴染としてしか雲雀の心にいられないこと。







「だ・・・・ぃ・・すきな・・・ぁ・・っのぉ・・・っ」








そして雲雀はあたしを一番好きで、一番愛せないんだ。






もっと、遅く出会えてたら






こんなにお互いが見えることも無かったのにね。











(あたしとあなたを幼馴染として送り出したマリア)








「doloroso」様に提出!!切なめにしたつもりです(汗

幼馴染って好きだけど、愛せないって微妙な感覚になるんじゃないかな・・・

という心境で書かせてもらいました!!

この企画に参加できてよかったです^^*