「ねぇ、恭弥・・・」




「何?邪魔しないでくれる?」






あたしが後ろから抱きつくと、心底嫌そうな声であたしを振り払う。


恭弥はいつもそう。昔は可愛かったのになぁ・・・。




「もう女の子がいるってのに・・・」


「女の子・・・?ワォ、それ君のことかい?」


「・・・・馬鹿恭弥っ」



あたしは恭弥の言葉にむかついて、ドカッと恭弥の向かい側ソファーに座った。

恭弥は鼻で笑って、あたしを見る。




「すねないでよ」


「すねてませーんだ。」

「すねてるじゃん」

「しーらないっ」




恭弥にバフッっとクッションを投げつけてやったけど、

恭弥はそれを軽々とキャッチした。





あたしは何度か恭弥に告ったことがある。

中学に入ったあたりは、毎日のように告白してた。(ストーカー状態


でも、あたし気づいちゃったんだ。




恭弥はあたしのこと、女の子としてみてないってこと。





「ねぇ、あたしって魅力ない?」


あたしの言葉に目をまるくした恭弥。

驚いたときの反応とか、そういう表情は懐かしい昔の恭弥を思わせた。



「いきなり・・・・何?」

「なんとなく」


恭弥はため息をつきながらも言った。



は魅力あるよ、僕が保証してあげる」


「それ、女としての魅力?」




「さあ?どうかな」





ふっと一瞬笑った恭弥を見て、あたしは顔が赤くなってしまった。

たまに笑う恭弥の笑顔は、本当に素敵だと思う。


女としても、あこがれてしまうくらいに。





は、男いないわけ?」


「意地悪・・・」

「うん、そうだね」




あたしが傷ついてること、わかってるくせに。

いまだにあたしは恭弥が好きで、今、この時も「好き」って言いたいくらいで、


でも、恭弥は断るんだ。




「馬鹿、馬鹿」



「ごめん、ごめん」





恭弥は冷たくて、優しすぎる。

あたしが傷つくことを知ってても、見てみないフリするくせに、

あたしのことを拒絶しないで、今もこうして居させてくれる。



ああ、涙が出てきちゃったよ。





「どうしたのさ、ほらティッシュ」



「・・・ありがと」






もっと、別の人に恋すればよかった。



きっとこれは完全な片思いで、実ることは無いのだろうから。








あたしはありったけティッシュを出した。


涙が乾き始めた頃、あたしは恭弥に声をかける。









「終わるまで、待っててもいい?」



「いいけど・・・暗くなるよ?」


「うん、それでもいいよ」



「送っていくことになるじゃない」



「送ってくれるくせに」


「はあ、馬鹿じゃないの?」


「恭弥は優しいから」



あたしはにっこりと笑う。


恭弥はちょっと困ったように「わかったよ、送るから」って言った。




ほら、やっぱり優しい。










――――――――・・・・














バイクに乗りながら、あたしは恭弥の匂いを胸に押し込んだ。




「ねぇ、恭弥」



風の音に負けないくらい大きな声でしゃべる。




「何?」



「あたし、恭弥のこと好きっ!」




「・・・・」





「だーいすきなの!!」





「・・・・」






黙って恭弥はバイクを走らせた。



少しして、バイクはあたしの家で止まり、「降りて」って言われた。


もう、恭弥との時間は終わりだ。





「恭弥っ・・・!!」



バイクにまたがった恭弥に声をかける。




「あたし、恭弥の中で何番?!」




「・・・・」



恭弥はエンジンをかけた。




「ねぇ!答えてよ!!」





バイクは走り出した。






「一番だよ、ずっと・・・僕の一番だよ」







かすかに、そう聞こえたと思ったら、恭弥の姿は消えていた。





恭弥は、あたしのこと好きじゃない。







でも、あたしは恭弥の一番だ。










でも、片思いだ。











ああ、もっと





















もっと、もっと、障害が少なきゃいいのに。













「Giulietta」様に!!企画に参加できてよかったです。

ありがとうございました!!よくわかんなくてすみません(汗