「雲雀さん、あたし帰りたいんですけども・・・」
「帰ればいいじゃない。勝手にしなよ」
「じゃあその手を離してくださいよ」
「なんで?」
「いや・・・帰りたいからですよ・・・・」
「じゃあ振りほどけばいいじゃない」
「・・・・離してくれないくせに」
「・・・・・」
「・・・・もうっ!!!」
あたしはいっつも雲雀さんには困らされてる。
雲雀さんがいるから、好きな人なんてできない。
だってさ、好きな人ができた次の日にはその彼、登校できなくなってるもん。
(絶対雲雀さんのせいなんだけど、しらばっくれてる)
更に最近は授業もあまりでれなくなってる。
朝のお迎えがきて、バイクに乗せられて、言われるままに応接室につれてかれて・・・。
雲雀さんの仕事が終わるまで応接で過ごす。って日々。
もうある意味監禁じゃないですか?!
「雲雀さん・・・」
「何?」
「別に・・・」
しかも雲雀さんはあたしに話し掛けることはめったに無い。
「コーヒー」とかそのくらいで・・・。
連れて来たくせにそれはなくない?!って態度をとる。
「あ、このアイドル知ってます?」
おもむろにあたしが読んでいた雑誌の写真に写る人をさす。
「何?好きなの?」
「い・・いえ。かっこいいなぁ・・・って思ってるだけで・・・」
「ふーん・・・」
ああ。このアイドル、もうすぐで引退かもな。
間違った話題をしてしまった・・・;;
「ねぇ」
「はい?」
「彼氏とかいないわけ?」
「で・・・できませんよ!!だって・・・」
「だって?」
「(雲雀さんがすぐ噛み殺しちゃうから!!)・・・いえ・・なんでも・・」
あーあ・・・雲雀さんさえ・・・・いなかったら・・・
普通のスクールライフを過ごせたのに!!
「はにぶいんじゃない?」
「へ?」
とか思ってたら意外な言葉が出てきた。
「好きになってもらってるのに、気づかないほうだよね」
「ど・・・どういう意味ですか?」
「ん?こーゆー意味なんだけど」
ちゅぅっ
「じゃあ、今日は帰っていいよ。
あ、それと・・・もう、強制的に応接室に来させたりしないから。」
パタン・・・・―――――――――――――
雲雀さんはあたしを置いて、応接室を後にした。
「へ・・・えっと・・・」
唇をそっと触ってみる。
さっき、雲雀さん・・・・キ・・キス・・・したよ・・ね??
感触がいまだに残っている。
「ひ・・・・雲雀さんっ!!!」
あたしは跳ねるようにソファーから立ちあがり、扉を開ける。
「・・・・・・・雲雀・・・さん?」
目の前には座り込んでる雲雀さんがいた。
「ぐ・・・具合でも・・・「静かにしててよ」
近づいて分かった。
雲雀さん・・・耳真っ赤・・・・。
じゃあ・・・さっきの・・・本気だったんだ・・・・。
「雲雀さん・・・」
「・・・・何?」
「明日も、応接室に来たいです」
すると、雲雀さんは微かに肩をピクンと反応させてつぶやいた。
「・・・・うん。待ってるよ」
あたし、本当にニブいね。
こんなに雲雀さんが愛しく思えてたなんて・・・。
「大好き、雲雀さん」
「・・・・・うん」
少年と少女
(甘酸っぱい青春の一ページ)