「ねぇ、雲雀さん知らない?」


「え?応接室とか屋上とか・・・じゃないの?」




「いないんだよねー・・・草壁さんも知らないって言うし・・・」




あたしは卒業式を終えて、まず雲雀さんを探した。


今日、卒業式で名前も呼ばれてないってことは・・・卒業しない・・・ってことだよね。







「ごめんね、もう一回探してくる!!」



そういってあたしは望みをかけてあるところに向かった。









―――――――・・・













「・・・いたっ・・・・」




カーテンが風でゆれている。

誰もいない部屋で雲雀さんは寝ていた。


保健室にいつもいるシャマル先生も今日は卒業式でいないのだろう。




「雲雀・・さん・・・・」




綺麗な肌をした雲雀さんに触れようとしたら手首を強く掴まれた。




「なに?」


「ひ・・雲雀さ・・・「卒業おめでとう」



とってつけたような言い方にずきんと胸が重くなった。






「そんな言いかたしなくたって・・・

雲雀さん、なんで卒業しないのっ・・・ねぇ・・・」




涙が出てきた。


止まらなくって、鼻水も出てきた。





「なんて顔してるの。」


「だってぇ・・・雲雀さん・・会えなくなっちゃうよぉっ・・・・」




雲雀さんはあたしをそっと抱きしめてくれた。




「ごめん・・・卒業、しなくて・・・」


「ほんとだよぉ・・・あたし、中学にまだいたいよ・・・

雲雀さんとまだいた・・い・・よ・・・・」



ぽんぽん。と頭を撫でられればまた涙があふれてきて。

学ランに涙が染み込んでいく。



雲雀さんは、ただずっと抱きしめていてくれた。



たまに「ごめん」とつぶやきながら。






――――――――・・・






「大なく 小なく 並がいい〜♪」


あたしは小さく歌い始めた。

空はもう夕焼け。


卒業した生徒ももう学校にはいなくなっていた。



「ふふ、あいかわらず歌上手いね」


「そんなことないよ・・・///」


「いつでも、来なよ。」



「え・・・?」





いきなりの話題に頭がついていかないあたし。






「ここは、君の帰る場所でしょ?」


「・・・・」



「いつでも・・・帰ってきなよ。僕のところに」




そういって、唇を重ねてきた雲雀さん。


あたしも答えるように強く押し付けた。











「雲雀さん、じゃなくて名前で呼んでよ」



髪をくしゃくしゃと撫でながら言った。



「恭弥・・・」


「うん、それでいいよ」




おでこにキスを落とす恭弥。





「ねぇ、恭弥・・・」



「何?」





「ここで、ヤっちゃ・・だめかな・・・・?」






「!?///」







びっくりして顔が赤くなる恭弥。


あたしは、それを見てくすくすと笑うと




恭弥はむっとしたような顔になる。(でも優しい雰囲気がする)




「・・・いいの?」


「うん、恭弥とあたしがお互い生徒同士・・・最後の思い出に・・・」




学ランをギュっと握って言うと恭弥は優しく笑って、キスをしながらベットに押し倒す。



ギシッ・・・






「大好き、恭弥・・・これからもずっとずっと」







「あたりまえじゃない、嫌いになんてさせない」













もう、中学時代は戻りはしないけど、



また新たな始まりだと、信じて。













「あ、待って・・・フィルム、一枚残ってるから・・写真撮ろう?」


「いいよ、この体勢でいいの?」


「うん・・・じゃあ撮るよ?」










カシャッ――――――――――









優しいキスと共にフラッシュが光った。
























永遠とかいて、『とわ』と読む。