雨に濡れた恋心
「・・・」
「ちょ、こないでよ!!」
恭弥があたしに近づこうと『ピリリ・・・』
「!!電話・・・?」
「ふふ、ナイスタイミング?バットタイミング?」
「うるさいっ・・・!!」
ニヤッと笑う恭弥を横目で見ながら、あたしは電話に出る。
『あ、もしもし??』
「武・・・?」
『悪ぃ!!明日の結婚式、延期になった!!』
「え?どういうこと?!」
『仕事が、片付かなくてな・・・。ホント、悪ぃ』
電話越しから、かすかに聞こえる人たちの声。
「うん・・・いいよ。しょうがないよ・・」
『帰ってきたら、結婚式、挙げような!!』
「うん。待ってる」
『じゃあまたな』
「またね」
ピッ・・・と悲しく響く電子音。
恭弥は何があったのか察しがついたようで「よかったね。」といった。
「何がよかったの・・・?!」
「君、考える時間ができたんじゃない」
「考えることなんてないよ!!」
「クス・・・ま、いいけど♪」
「恭弥、そんなにあたしをからかって楽しい?!」
あたしの言葉に、恭弥の笑みは消える。
「楽しくないよ」
「え?」
恭弥はあたしを壁まで追いやるように近づいてくる。
「のこと・・・本気で好きだから」
「恭弥?」
「ねぇ、僕を見てよ」
「恭弥・・・?」
「いや・・・見てもらうから」
ぐいっとあごを掴まれて、無理矢理キスをされる。
舌を強引に押し込む恭弥は、何かにあせっているようだった。
「やめて・・・!!」
ドンッ!!と押せば、恭弥は簡単に離れる。
そして、あたしは恭弥の腕の檻から抜け出し、屋敷の扉を開けた。
「あ、雨?!」
外は強い雨。
でも、あたしは雨の中を駆け抜けた。
「・・・!!」
それを追ってくる恭弥。
「なんで、ついてくるの?!」
「濡れちゃ・・・風邪引くでしょ?」
なんで、そんなよくわかんないやさしさを見せるの?
「やめて・・・っ・・・つっ・・・」
「?!」
あたしは、雨の中、力が抜けて倒れこんだ。
そういえばちょっと前から風邪っぽかったっけ・・・?
「たけ・・・し」
ねぇ、あなたはあたしと幸せになれると思いますか?
...To be continued