君に漆黒の花束を
「まじ・・・かよ」
「うん。もう、決めたことだから」
「・・・ちゃん」
「はい」
「幸せに・・ね」
「・・・ありがとうございます、10代目」
あたしは、獄寺くんと10代目に挨拶を済ませて、部屋を出た。
10代目に「雲雀さんには・・・」と言われたんだけど、「いいんです」とだけ言っておいた。
恭弥には『結婚』のことは言わなくていい。言う必要もない。
だって、あの人はあたしになんて興味もないのだから。
あれほど好きだったのに。あれほど幼馴染で、近くにいたのに。
あの人はあたしを見ることは一度もなかった。
「♪用意、しようぜ」
「武・・・!!」
だから、あたしはあなたへの恋心をゴミ箱に捨てる。
「なに、びっくりしてんだ?」
「ううん。気にしないで」
「ま、いーけどよ♪今日は、ウェディングドレスの合わせだよな?」
「うん!!」
あたしは武の手をとった。
――――――――――――――――・・・・
「わぁ・・・綺麗ですよw」
「ほんと・・・ですか?」
「えぇwご主人、呼んできますね」
「あ、は・・はい!!」
あたしは今、着させてもらったウェディングドレスをふわふわと
触りながら鏡の前でにっこりと笑ってみる。
ああ。大丈夫。笑えてる。
「何、ニヤついてるの?」
「・・・」
「ウェディングドレスなんて着ちゃってさ。」
「な・・・んで・・・」
ウェディングドレスに手を伸ばすのは、
武じゃなくて、恭弥だった。
「なんでって・・・結婚するんでしょ?」
「・・・」
「結婚式、明後日らしいけど、出れないから。直接お断りに来た」
「呼んで・・・ないよ?」
「には、ね。」
スーツの胸ポケットから出された招待状。
きっと、武が渡したんだ・・・!!
「そういえばさ、」
「何・・・?」
「なんでそんな辛気臭そうな顔してるの?」
「え・・・?」
「幸せそうな顔、すれば?」
「し・・幸せだよ?」
「笑顔の練習してたくせに?」
「してないも「?何どなって・・・」
キィッ・・・と扉が開いた音がして、
あたしはなぜか無性に隠れたい気持ちになって、あせった。
「どうしたんだ?」
「えっと・・・」
「一人で芝居か?ほんとおもしれぇ奴・・・」
「え?」
武から目を離して、恭弥の方を見る。
でも、そこにはもう恭弥の姿はなく、恭弥のいた場所の後ろにあった窓が開いていた。
「あたし、幸せだよ?」
「え?」
「あたし、武と居れて・・・すっごい幸せだからw」
「ああ・・・俺もww」
あたしは、武にギュゥ・・・と抱きついた。
何かを確かめるように、
強く、
強く。
...To be continued